財政破綻の実例:財政が破綻するとどうなるのでしょう? 財政破綻の例をもとにご説明しています!

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財政破綻の実例

財政破綻とは


 財政破綻とは、どういうことになることを指すのでしょうか。

 実は、財政破綻の定義というのは、特にありません。ここでは、”財政逼迫により、対外的な信用が著しく低下し、国民の生活が困窮または国民の資産が脅かされること”を財政破綻とします。もう少し簡単にすると、”財政逼迫により、期待する生活が送れないこと” をいいます。

 例えば、財政再建のため、消費税が30%、年金の大幅なカット(現在の水準でも国民年金だけの場合、40年間払い続けても、
年額795,000円程度<平成17年度>)および70歳からの支給になったとしたら、どうでしょうか。楽しみが失われ、日々の食事にも困窮する暮らしは、想像もつきません。過去において、財政破綻の例は、多数あります。実例をみてみたいと思います。



財政破綻の例 −日本での預金封鎖−


 日本においても、財政破綻預金封鎖の例はあります。最初の例は、永仁の徳政令といわれています。

 昭和になってからは、終戦直後に預金封鎖がありました。太平洋戦争直後の昭和21年、急激なインフレを阻止するため、新円への切り換えを行い、強制的の銀行に預けさせ、預金封鎖を行ったのです。

 終戦後、日本は、戦後処理として巨額の財政支出を余儀なくされたことなどから、日本経済は急激なインフレとなり国民生活は困窮しました。当時のインフレは、戦前に比べ、200倍にも達していました。ハイパーインフレです。

 このため、日本政府は、昭和21年2月、金融緊急措置令および日本銀行券預入令を公布、5円以上の日本銀行券を強制的に預金させ、既存の預金とともに預金を封鎖した。生活費や事業費などに限って払い出しを認めるが、払い出しは厳しく制限するという非常措置(新円切り換え)を実施した。

 なお、この新円への切り換えは、国民のまったく知らない秘密裡で進行していました。預金封鎖とハイパーインフレにより、戦時中に発行された国債や多くの紙幣が紙くず同然になり、多くの国民の財産が失われました。この混乱は、昭和24年まで続きました。



どのような課税が行われたのか
当時、以下のような課税が行われました。

富裕税 資産の集中を防ぐために財産に課税。
500万以下:非課税、500万円超:0.5%、1000万円超:1%、
2000万円超:2%、5000万円超:3%
非戦災者特別税 戦災者と非戦災者がいるのは不公平ということから、家屋を借りている非戦災者に対して、家賃の3ヶ月分、家屋を所有している者に対しては6か月分を課税しました。
戦時補償特別税 戦時中に発生した民間企業の政府に対する未払い代金の請求権に、100%の課税を行いました。実質の踏み倒しです。
取引税 取引額に対して、1%を課税。現在の消費税です。
財産税 一定の金額を超える金額に対して、25%(1500万円超には、90%超)課税しました。ほぼ富裕層の資産は没収です。
再評価税 戦後のインフレによって価値が増大した資産を再評価して、6%の課税を行いました。
資産疎開」 著者:太田晴雄 実業之日本社 より引用


 このような課税には、戦後の混乱という背景がありました。ちなみにドイツでは、第一次世界大戦後に、戦後の賠償金支払いのため意図的にハイパーインフレを起こし、何と16ヶ月間に1兆2000億%のインフレとなりました(単位は間違っておりません!)。

 財政危機ということでは現在も同様です。しかし、大きく異なるのは当時は資産家から徴収することが基本のようでしたが、現在同じようなことがおきるとすると、庶民の資産からもっとも徴収され、政治家を含め富裕層の資産を必死で守ろうとするでしょう。

 その前に、グローバル化がすすみつつある現在では、資産税をかける前に資産をもっている人は、海外に退避(キャピタル・フライト)させるでしょう。



永仁の徳政令とは
元寇との戦いの後、借金などで生活に困窮した御家人を救済するため、1297年、借金を棒引きさせる徳政令を発令しました。御家人のみ対象であったため、不満が爆発し、一揆が多発するようになりました。この後、日本は何度となく徳政令を発動するようになりました。御家人を企業、借金を債権放棄に読み替えると、現在にもあてはまるようです。





財政破綻の例 −アルゼンチンの財政破綻−


 2001年12月、アルゼンチン政府は、財政建て直しのために、増税、公務員給与カットなどの歳出削減案および前年比20%減という超緊縮予算を掲げたところ、それまで不況による失業と社会不安などで苦しんでいた国民の不満が爆発しました。社会秩序も崩壊し、略奪、暴動も起きる事態となりました。

 そして、2001年12月24日、アルゼンチン共和国のロドリゲス・サー暫定大統領が対外債務の支払を一時停止するという発表を行いました。日本でもアルゼンチン政府が発行したサムライ債(円建て外債)の支払いがなされず、4月にデフォルト(債務不履行)となりました。アルゼンチンの事実上の財政破綻です。ちなみに、アルゼンチン債の格付機関の格付がトリプルBクラスで投資適格の範囲内でした。



【アルゼンチンはなぜ破綻したのか】
なぜ破綻に至ったか。まず、アルゼンチンの通貨(レアル)の海外からの信用が著しく低下し、アルゼンチンの国債が暴落しました。なぜ、信用が低下したかというと、やはり財政赤字と貿易赤字が膨らんだことと対外債務が大きかったからです。財政赤字は、日本も同様ですが、貿易赤字と対外債務という点で大きく異なります。破綻とは、国家の信用の失墜といえます

【どういう事態になったか】
・パンなどの一部商品の値上げ
・銀行預金の支払停止、為替交換の停止
・国民の海外流出
・物資の不足。特に医薬品の不足のため、手術にも影響。

などの事態が発生しました。

そして、もともと不況に苦しめられていた国民は、政府への怒りのデモから暴動にも発展しました。




財政破綻の例 −トルコの通貨危機−


 トルコは、長年インフレが続いており、IMFの支援のもと財政再建に取り組んでおり、何とか再建の道筋が見えてきた状況です。EUへの加盟も認められ、1月1日にデノミを発表しました。財政破綻の一歩手前だったというところでしょうか。


(読売新聞Newsより) 抜粋
トルコ政府は1日(2004年1月1日)、同国通貨リラの100万分の1のデノミネーション(通貨単位の切り下げ)を実施した。トルコでは、長年のインフレでリラの価値が下がり、世界最高額の「2000万」リラ(昨年末で約1500円相当)紙幣が堂々と流通するほどだったが、欧州連合(EU)加盟交渉を急ぐエルドアン政権は2003年秋、デノミ実施を発表、高インフレ体質からの決別を宣言していた。国際通貨基金(IMF)との合意の下、構造改革を進めるトルコ経済は近年好調で、2004年の成長率は10%以上、1990年代半ばに年150%を記録したインフレ率も10%以下と予想されている。


 トルコは、2000年と2001年にわたって金融危機に陥りました。長年のインフレに伴い、対外債務の増大や金融システムへの不安、政治的混乱にアルゼンチン債デフォルトやイラク情勢などの外的要因も重なり、信頼が低下したためです。金融危機は、2003年まで続きました。IMFの巨額支援の条件として、徹底した緊縮財政、インフレ抑制、銀行部門改革を行った結果、緩やかだが改革が前進していることで、信頼を回復してきているようです。

 トルコ経済の再建には、財政赤字と公的債務の削減が必須事項となります。IMFプログラムにある財政プライマリー収支黒字の目標GNP比6.5%と金利負担が一般歳出の45%を占める公的債務を削減していくしかないことになります。また、対外債務の大きいトルコは、年間300億ドル以上の外貨を獲得しなければなりません。そのためには、歳入・歳出の構造改革の推進が重要となります。具体的な対策として、下記を行っています。


【財政赤字削減】 【公的債務管理】 【その他】
公共料金の引き上げ 公債の平均満期の長期化 銀行改革、社会保障改革など
燃料消費税の増税 発行形態の多様化
燃料消費税の増税 投資家の多様化
新規税控除制度の導入禁止
公務員給与の引き下げ
国営企業の余剰人員の削減


日本との比較
 財政赤字(プライマリー・バランスは、共通ですが、対外債務、貿易収支、およびインフレの点で大きく異なります。ただし、トルコの公的債務は、GNP比70%(日本は、150%)、国債の格付け(ムーディーズ 自国通貨建て)は、B2(日本は、A2)です。

 アルゼンチンの場合もそうですが、対外債務が大きいといつ信用低下がおきてもおかしくないのかもしれません。日本は、対外債務や貿易収支が黒字でなかったとしたら、とても公的債務GDP比150%まで持ちこたえられなかったでしょう。日本も財政再建をめざしており、対策も決定的な違いは、公務員給与の引き下げ、国営企業の余剰人員の削減などとの歳出抑制、行政改革を行っていることです。






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